持ち家か賃貸か?経営者ならその答えは明らか。

たまに雑誌やネットで「持ち家と賃貸はどっちが得なのか?」というタイトルの記事を見かける。

家って買うにしろ借りるにせよ必ず必要なものだし、私自身若い頃はその答えに興味津々で、そういった記事はつい読んでしまっていた。

でもそういう記事を読んで、「なるほど、賃貸の方がいいのか!」「やっぱり持ち家の方が得なんだな!」と明確に答えを得られたことはない。

私の若い頃から、現在にかけてもこのような記事は、常に見かける。

ずっと同じようなテーマの記事がで続けているということは、答えが明確になっていないからだと思う。

では結局、持ち家と賃貸はどちらが得なのだろうか?

持ち家vs賃貸の決着がつかないのは何故か?

持ち家と賃貸どっちが得か?という議論は私が子供の頃からあちこちで見かける。

今でもその議論が続いているということは、結局どちらがいいとは一概に言えないからなのだろう。

だからこの論争は終わらない。端的に言えば、「人によってどっちが良いのかは異なる」ということなのだろう。

しかしそれで終わっては意味がない。

もちろん、持ち家の方が自己所有している満足感を感じられる人であれば、持ち家の方が満足度の高い人生を送れるだろうし、その時その時の自分の状況で柔軟に住居を変えたい人にとっては賃貸の方が幸せだろう。

「人によってどっちが良いのかは異なる」というのは確かに真実だ。

そのため、今回は経済的な視点から「どちらが得なのか?」を考えてみたい。

つまり、同じような持ち家と賃貸に暮らした場合、どちらの方がお金が手元に残るのか?どちらがよりお金を自宅にかけないで済むのかということだ。

持ち家、賃貸のそれぞれの利点・欠点

持ち家と賃貸のどちらがいいのかを考えるにあたり、それぞれの特徴を改めて考えてみよう。

持ち家の特徴は、

・自己所有物(資産)である

という点が一番の特徴だ。資産なのだからそれに価値があり、売却することができる。土地価が上がる場所に持ち家を持っている場合、購入時より高く売れることもある。

一方で資産なのだからその逆もあり得る。土地価が購入時より下がれば大きく損をする可能性もある。

また所有物だからこそ、メンテナンスは自費でしないといけないし、税金も自分で払わないといけない。

買ったものは基本的に不変であるから、拡張・縮小などがしにくいのは欠点だ。

例えば父・母と子供2人の4人暮らしを想定して持ち家を買ったとする。しかし20年も経てば子供は家からいなくなってしまう。子供部屋はデッドスペースとなり、ほとんど役に立たなくなるが、だからといって使わないからとその分のお金が戻ってくるわけはなく、そのスペースは持ち続け、そのスペース分の税金は払い続けないといけない。

一方で賃貸は、レンタルしているだけなので家は自己の所有物ではなく、資産にならない。そのため売却で利益を得ることも出来なければ、土地価が下がって損をする事もない。

ただ、住んでいる間にかかる金額は購入者(オーナー)の利益が乗せられるため、持ち家と比べると少し割高になる。その分税金を払ったり自分で修繕したりという手間はない。

最大の特徴は自分の今の状況に合わせて柔軟に住居を変えられるというところだ。

先ほどの4人家族の例でいえば、子供が家を出たら2人暮らし用の小さな家に住み替えてもいい。そうすれば家賃を大きく削減することができ、無駄なスペースにお金を払い続けるというリスクが持ち家と比べて低くなる。

こうやってみると、確かにどちらも一長一短だ。総合的にみれば、人生は何が起こるのか分からないのだから、どちらがその人にとって得なのかは、人生を終えてみないと分からないだろう。

そうすると「総合的に見ればどちらでも大きく変わらない」というのが答えになってしまう。

経費を使えば回答は「賃貸」一択となる

しかしそんな持ち家vs賃貸論争も、「経営者」という条件をつけると一気に話が変わってくる。

なぜならば経営者は「経費」で自宅を用意するという方法があるからだ。

例えば賃貸物件を社宅として法人で借り上げ、自分がそこに住めば、賃料の多くを(7ー9割)法人で支払うことが可能になる。

(ただし、RCなら99平米以下の物件など社宅として有利に節税するにはいくつかの条件がある)

あるいは自宅で仕事を多くしているような経営者の場合は、自宅をプライベートと仕事で按分して、仕事の分だけ法人で支払うことも可能だ。

経費というのは税金がかかる前のお金から使えるという点が大きい。それはつまり、(経営者の年収にもよるが)ものが3〜5割引で買えるのと一緒のこととなる。

こうなってくると、持ち家vs賃貸の論争の風向きが変わってくる。

持ち家はさすがに経費で支払うのは難しい。不可能ではないようだが、持ち家を法人で借り上げて個人に貸すというのは金額も数千万レベルの買い物になり、簡単に税務署には認められないだろう。

対して社宅は多くの企業が導入している普通の制度であり、導入しやすいししっかりと規定をつくっておけば否認もされにくい。

賃貸の方が持ち家よりも同じ家に住み続けるのであれば多少割高だが、それでも賃貸が3ー5割引になるのであれば圧倒的に賃貸の方が安くなる。

更に賃貸は古くなれば新しい家に住み変える、家族構成が変わったら今の家族構成にあった広さの家に住み替えるということが柔軟に可能だ。

圧倒的に賃貸が得になる。

でも賃貸は老後借りれなくなるんじゃないの?

賃貸の大きなリスクとして、「高齢者になったらどこも貸してくれなくなる」ということがよく言われる。

もちろん物件を選んだり、老後の資産がほとんどないような人であればそうかもしれない。

しかし私は医者として、貧困の高齢者を診察する機会も今まで多くあったが、そういう方が家がなくて困っているかというと、そんなことは全くない。

特に大きなこだわりがなければ家余りのこの日本で全く家を借りれなくなる可能性は低い。

またどうしても老後に借りれなくなるのが心配であれば、経営者である間に社宅制度などを利用してしっかりお金を貯めておいて、これ以上家族構成が変わらないだろうといなったところで(例えば夫婦2人になった時など)、その時になって住居を購入すればいいだろう。

今回の話はあくまでも経済的な話

経営者は経費を使って実質割引で家賃を払えるため、賃貸の方が経済的優位性があるとお話しした。

しかしだからと言って経営者全員が賃貸に住むのが正しいということではもちろんない。

やっぱり家族と持ち家で伸び伸び暮らしたいなと思えば持ち家で全然いいと思う。

でもまだどっちがいいのか分からない時、賃貸から持ち家には動きやすいけど逆は難しいことを考えれば、まずは賃貸で経済的にも得に過ごし、どちらが自分の人生にとっていいのか見えてきたら、その時決断するのがいいだろう。

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