ANAには航空会社が用意しているラウンジがある。
それが、
- ANAラウンジ
- ANAスイートラウンジ
の2つだ。
どちらもANAが設定する上級ステータスを持っていないと入れない。こういった特別感に人間は惹かれるもので、少し前には上級ステータスをとるための「修行」と呼ばれる無駄に飛行機に乗ることが流行ったことがあった。
それほどまでに皆が行きたがるANAラウンジ、中でも最上位のANAスイートラウンジとはどんなものなのか。
結論から言うと、国内線のスイートラウンジは全然大したことはなく、特別感もさしてない。ただ、それはANAが悪いと言うことではなく、国内線のラウンジに対する需要がそんなものなのだろうと感じる。
ANAスイートラウンジについてお話しする。
ANAスイートラウンジ(国内線)はどこにある?
ANAスイートラウンジは国内線の中でも主要空港にしかない。
具体的には、
- 新千歳空港
- 羽田空港
- 伊丹空港
- 福岡空港
- 那覇空港
の5箇所だ。
この5箇所以外の空港でラウンジを使いたい場合は1つ下のランクのANAラウンジを使うこととなる。
かなりの地方だとANAラウンジすらもないため、その場合はカードラウンジを使うしかないが、その場合はクレジットカードのゴールドを持っている人と同じ扱いになるので更に特別感は低くなる。
よって地方在住などで主に地方便しか使わない方はラウンジ使用の特典の意義はほぼないと思われる。
ANAスイートラウンジ(国内線)の入室条件
ANAスイートラウンジは誰でも入れるわけではない。限られた人にしか入れず、それが特別感としてラウンジの価値を高めている印象がある。
具体的な条件だが、
- ANAダイヤモンドステータス保持者
- その日にANA便に搭乗する
の両方を満たすことで入室できる。
ANAのサービスなので、「今日はJAL便に乗るけどラウンジはANAを使いたい」ということはできない。
逆に上記2つを満たしていればどんな人でも入れる。プレミアムシート搭乗者のみなど、席のランクに左右されずに入れるのがANAの特徴だ。
ANA国内線最上位のプレミアムシートに搭乗予定であってもダイヤモンドステータスがなければANAスイートラウンジは利用できない(1つ下のANAラウンジは利用できる)。
反対にJALは最上位のファーストクラスに搭乗すれば、JALの何のステータスも持っていなくても国内線最上位のダイヤモンドプレミアムラウンジを利用できる。
JALダイヤモンドプレミアムラウンジとの違い
国内線で利用できるラウンジのうち、
JALは、
- ダイヤモンドプレミアムラウンジ
- サクララウンジ
ANAは、
- ANAスイートラウンジ
- ANAラウンジ
を用意している。
クオリティとしては同じような感じで、JALダイヤモンドプレミアムラウンジとANAスイートラウンジがほぼ同じクオリティ、サクララウンジとANAラウンジがほぼ同じクオリティと考えて大きな間違いはない。
上位のラウンジは席なども多少高級感があり、利用者も少ないため混み合っていることも比較的少なく、ドリンクやアルコールに加えておにぎり・パンとその土地のちょっとした名産、おかしと言った軽食が用意されている。
下位のラウンジはある程度の高級感はあるが利用者が多く混み合っていることが多々ある。ドリンクやアルコールとちょっとしたお菓子があるくらいで軽食は用意されていない。
また、JALとANAでラウンジの利用条件が違う。
ざっくり言えばJALは高い席(ファーストクラス)を取れば良いラウンジを利用できる。ANAは反対に高い席(プレミアムシート)を取っても高いステータスを持っていなければ良いラウンジを利用できないし、逆に良いステータスさえ持っていれば普通席でも良いラウンジを利用できる。
JALは席のランクが全て、ANAは取得しているステータスが全てという感じ。
席の混み具合でいうとANAの方が混んでいる印象。ANAは一時期顧客を取り込むためにキャンペーンなどを乱発し上級会員が一気に増えた。それに伴いラウンジに入れる人も増え、質も少し低下した印象がある。
JALはANAと比べれば上級会員の特別感を守り続けており、キャンペーンなどはANAと比べると少ない。そのため、ラウンジに入れる人もANAと比べると少ない印象。
テレビなどで取り上げられるANAスイートラウンジがすごい!みたいのはほぼ国際線のラウンジのことであり、国内線のものではないので、国際線のスイートラウンジを期待していくと絶望することになるので注意。
ANAスイートラウンジ(国内線)のクオリティ
ではANAスイートラウンジのクオリティはどんなものなのだろうか。
結論から言えば国内線のラウンジは最上位のANAスイートラウンジであっても大したことはない。
外観・雰囲気
国内線のラウンジの中では最上位ではあるものの所詮は国内線、そんなに大したことはない。
とは言え羽田空港のANAスイートラウンジは広々としており高級感はある。ANAラウンジも広いがANAラウンジはすぐに満席になってしまうのと異なり、ANAスイートラウンジは席が満席になることはほとんどない。
逆に羽田以外のANAスイートラウンジは羽田と比べるとだいぶ狭い。ただ、その分利用者も羽田と比べれば少ないので満席になることはやはり少ない。座席の高級感も羽田は確かに高級な感じがするが、それ以外の空港はちょっといい椅子かなというくらい。
フード・ドリンク
ANAスイートラウンジでは軽食程度の食べ物が用意されている。
おにぎりやパンがそれぞれ数種類、チョコレートやおかきなどのお菓子、あとはその土地の名産が1,2個置いてあったりする。これらはもちろんあれば嬉しいものだが、そんなに高級な食べ物がいただけるわけではない。
各地の名産として例えば那覇空港では、ブルーシールのアイスが置いてある(2025年時点でバニラ、チョコ、シークワーサー、紅芋味の4種類)。



あとはコーヒーマシン、ソフトドリンクが出てくる機械(よくファミレスにあるやつ)とお酒が何種類か。
ANAラウンジとドリンクの種類は変わらない。アルコールは変わるのかもしれないが自分はお酒を飲めないのでそこは良く分からない。
ANAラウンジは食べ物がチョコとおかきくらいしかないため、軽食の有無が違う。
シャワー、個室
国内線でもANAスイートラウンジはシャワー室が完備されているらしい。
自宅から羽田まで距離がある方などはこれが結構助かるみたいで「このサービスが一番ありがたい」という方も結構いる。
自分は利用したことがないので混み具合やシャワー室の外観などの詳細はわからない。
客層
「スイートラウンジ」と聞くと何だか高級感があってお金持ちがゆったり過ごしてそうなイメージがあるかもしれないが、全くそんな感じではない。
上述のようにANAスイートラウンジの特徴は「ダイヤモンドステータスさえ持っていれば安い席に乗っても入れる」という点である。
ダイヤモンドステータスを持てるのはどんな人かというと、細かい取得条件はANAのサイトを見ていただきたいが、
- めっちゃ飛行機に乗る人(PP10万/年)
- そこそこ飛行機に乗って(PP5万/年)、ANAカードで年間400〜500万以上決済している人
のどちらかだ。
私は後者で取得しているが、PP(プレミアムポイント)5万というのはざっくりいうと、年1回海外にいき、月1回くらい国内線に乗っていると貯まるくらいだ。国内のみだとおおよそだが月1-2回乗っていれば貯まるだろう(羽田-那覇など距離がある路線なら月1回でも貯まるかも)。
上記を全てANAおよびそのコードシェア便で利用する必要がある。
となると、そこから想定される客層は、
- 飛行機での出張が多い方
- 飛行機での遠方への旅行が多い方
が当てはまる。
取り立ててめちゃお金持ちというわけでは無くても月1回飛行機で旅行というのは、旅好きなら十分あり得る頻度だ。
そのためお金持ちというより、単に「よく飛行機に乗る人」がANAスイートラウンジには多いと思われる。
ANAスイートラウンジ(国内線)の総評
国際線のANAスイートラウンジと比べるとフードの量や質など比べ物にならないくらい低い。
でもそれは当たり前で国内旅行でラウンジでめちゃくちゃ食べ物を食べる人は少ないだろう。旅行先で食べられる名産やおいしいものを食べたいはずだ。
国内線という性質上、このくらいのレベルのサービス提供になるのは当たり前と言え、多くの人の用途は「出発までの少しの時間をゆったり過ごしたい」というものであろう。
その目線で言うと十分ニーズを満たしていると思う。自分もなんだかんだ空港に行く時はよく利用している。
ANAスイートラウンジとJALダイヤモンドプレミアムラウンジのクオリティの差もなく、特別どちらの方が行きたいと言うこともない。なのでラウンジで航空会社を選ぶこともない。